
血管内で血が固まって血栓ができるのは、動脈硬化が大きな原因です。
動脈硬化が起きている血管内部は、コレステロールなどが粥状の塊を形成し(粥状硬化巣)するため、血液の通り道が狭くなっています。本来はなめらかな内壁は、硬化巣によってデコボコした状態になり、血圧が上昇しして局所的な血流が速くなると、内壁が傷つきます。
血管に傷ができると後はケガの修復と同じで、先ずは血小板が集まり、次にフィブリノーゲンが集まってフィブリン塊ができ、傷をふさぎ、血栓を形成します。血栓症は、本来は傷ついた血管を修復しようとする働きがマイナスに作用して起きる病気です。
では、脳の血管が詰まった場合についてご説明しましょう。
動脈硬化はどこで発症するかによって病名が変わり、症状も変わってきます。中でも最も恐ろしいのは脳で起こる血管障害です。脳は全身をすみずみまでコントロールする司令塔なので、脳で障害が発生すると全身の機能に支障が起きるからです。
脳の血管の一部が血栓で詰まったり、動脈硬化で動脈瘤ができ破れたりすると、最悪の場合死に至ります。運よく助かっても、全身~半身まひになり、自立した生活をあきらめなければならないケースもあります。「寝たきり」状態の原因の4割は脳卒中です
その脳の血管障害ですが、代表的なのは脳卒中です。
脳卒中という言葉は昔から使われています。「卒」には突然に、「中」には当たる、という意味があります。昔から脳卒中は、ふだん元気な人が、ある日突然倒れ、そのまま帰らぬ人になってしまうといった病気だったのでしょう。それがまるで何かしらの病魔に「当たった」かのようなイメージから「卒中」という言葉で表現されています。
今でこそ救急治療によって多くの人が一命を取り留めるようになりましたが、昔は卒中になったら終わり。運よく生き延びても、寝たきりになったり、まひが残って以前のように話したり歩いたりできなくなる人が多かったのです。