
西洋赤ミミズ驚くべき力!血液サラサラの有効成分は6つのルンブロキナーゼ
西洋赤ミミズ(Lumbricus rubellus)から強力な血栓溶解作用を持つ新規酵素群「ルンブロキナーゼ」が同定されました。この酵素は、プラスミノーゲンに依存せずフィブリンを分解し、熱やpHに安定で、複数の酵素から構成されることが特徴です。古くから利用されてきたミミズの薬効が科学的に裏付けられ、血栓症の予防・治療における新たな可能性を示唆する研究です。
土を掘れば顔を出す身近な生き物ミミズ。
土の中の有機物を分解して土を肥沃にたがやしてくれる、お掃除係のようなありがたい生き物です。
実はこのミミズ、土の中だけでなく、私たちの身体の血管も掃除してくれることが分かってきました。
東洋医学ではすでに、解熱剤や中風薬(脳卒中の治療薬)など漢方薬として重用されています。
ミミズの有効成分について科学的な解明をはじめておこなったのは、1915年田中伴吉らによって東京醫學會雑誌に報告された解熱作用を示す「ルンブロフェリン」の発見でした。1989年には旧宮崎医科大学の美原らによって、西洋赤ミミズに高い線溶活性、つまり、血管の中に溜まった不要な血栓を溶かす働きがあることが分かりました。
この線溶活性を示す成分は酵素の一種であり、「ルンブルキナーゼ」と名付けられました。
その後今日に至るまで、血管の拡張作用、動脈硬化の改善作用、血圧降下作用、血糖降下作用など、人間の体に有効な様々な働きが解明されています。
気持ち悪いというイメージのあるミミズですが、私たちの健康と未来を担う救世主になる可能性を秘めているのです。