
病気の治療にミミズを用いられた歴史は古く、数千年間に中国や東アジアの特定地域にまで広がりました。漢方薬の古典書には白頸蚯蚓(ハクケイミミズ)」や「地竜(ジリュウ)」などの名前で掲載されています。
宋の時代(960-1279年)に中国で出版された「重修政和証類本草」という書物には、当時すでに紛失されていた「日華子」という書物の中に「ミミズは中風を治す」という記述があると述べています。中風とは現代の脳出血や脳梗塞のことも含み、当時すでにミミズの血栓溶解作用を治療に利用していたことが伺えます。
16世紀、明王朝の李時珍が著した薬学書「本草綱目(ホンゾウコウモク)」にも、ミミズは「蚯蚓」という名前で記載されていて、その効能としては、解熱作用、鎮痛作用、利尿作用などと共に、「中風」と言って現代医学で言う脳梗塞や脳出血を治療するとの記載が見られます1)。
上記文章は以下の書籍を基に表記しています。
1)李時珍.蚯蚓.本草綱目 第42巻 蟲部.頭註國譯(ヤク)本草綱目 第10冊.白井光太郎.木村博昭.鈴木眞海.他.春陽堂出版.東京 1930.300-310.