脳梗塞の前兆症状

「脳梗塞は突然起こる」と思われがちですが、実は多くの場合、前兆があります。脳梗塞の背景には、高血圧や高コレステロール血症、糖尿病といった生活習慣病があり、これらは動脈硬化を進行させ、発症リスクを高めます。動脈硬化は40代から進み始め、50代では約3人に1人が患っているとされます。さらに、飲酒・喫煙・肥満・メタボリックシンドロームなどの生活習慣が加わることで、脳梗塞の発症に至ります。つまり、脳梗塞は「突然」ではなく、「じわじわと進行していた結果」なのです。

一過性脳虚血発作(TIA)という警告

脳梗塞の前兆として、「一過性脳虚血発作(TIA)」が現れることがあります。これは、脳の血管が一時的に詰まることで、手足のしびれ、言葉が出ない、視野の一部が見えない、などの症状が一時的に現れ、数分〜数十分で回復する発作です。

しかし、この「すぐに元に戻る」症状こそが、危険なサインです。TIAを経験した人の1520%が、3ヶ月以内に本格的な脳梗塞を発症すると言われています。特に発作後48時間以内は非常にリスクが高く、早急な対応が求められます。

「大丈夫」は禁物、当日に病院を受診

一過性脳虚血発作が起きた場合は、たとえ症状が治まっても、必ず当日中に病院を受診してください。脳神経の専門医による診察と検査を受け、必要な治療を始めることで、本格的な脳梗塞を防ぐことができます。

症状が一時的であっても、「ちょっと疲れていただけ」と軽く考えるのは危険です。TIA命を守るための警告です。早期対応が、後遺症のない未来につながります。