
ラクナ梗塞
中大脳動脈など脳に入った太い動脈血管は、細い血管に枝分かれして、さらに脳の奥深く入って行きます。狭く細い血管では血栓は詰まりやすいので、小さな梗塞が発生しやすいのです。このタイプの梗塞をラクナ梗塞といいます。梗塞自体は小さいのですが、色々な場所で何回も起こりやすいのが特徴です。
「ラクナ梗塞」と呼ばれるのは、「ラクナ」がラテン語で「小さな孔」という意味するからです。
日本人に一番多いタイプの脳梗塞で、日本人の脳梗塞の4割はラクナ梗塞です。脳の深いところで、そうした小さな梗塞が繰り返されると、外科的な処置も困難ですし、病状は徐々に悪化してしまいます。
心原性脳梗塞
心臓の心房などに生じた血栓が、剥がれて血流に乗って脳まで届き、太い血管を詰まらせるのが心原性脳梗塞です。元読売ジャイアンツの長島茂男監督が発症したのが、この心原性脳梗塞です。
脈に触れると一定のリズムで拍動しているのが分かります。脈が拍動するのは、心臓は一定のリズムを刻んで収縮・拡張し、 一定量の血液を全身に送り出しているからです。心臓の収縮リズムが乱れると不整脈となり、心臓は心房細動という状態になります。心臓は一定量の血液を送り出すことができなくなり、古い血液が心房内に残されることが多くなります。この古い血液はよどんで血栓になり、やがて心臓から押し出されて首の動脈を通って脳に向かいます。心臓から剥がれた血栓はとても大きいので大動脈を詰まらせてしまいます。発見が遅れると命に関わる重度の脳梗塞になるのが、このタイプの脳梗塞です。発症すると、その6割が寝たきりか死に至るという恐ろしい病気です。
アテローム血栓性脳梗塞
アテロームとは、動脈硬化の項で説明した粥状動脈硬化のことです。脳の血管が硬くなったところに、血液中にだぶついたコレステロールや中性脂肪などが赤のように内壁に付着して血管をふさいでしまう状態を言います。血管の内側本来は滑らかなのですが動脈硬化が進むとこびりついた血液の付着物ででこぼこした状態になり、何かのきっかけで血流に流され内皮細胞が剥がれると傷になってしまいます。血管に傷ができるとあとは外傷と同じでそこに血小板が集まり、そこに血小板が集まり、フィブリノーゲンが集まってフィブリンとなって傷をふさぎ、血栓を形成します。本来は傷ついた血管を修復しようとする働きがマイナスに作用したのが血栓です。
このようにアテローム血栓性脳梗塞は、血液中の不用なコレステロールや中性脂肪による動脈硬化を元として、血小板が集まってさらなる血栓を作り血管をふさいでしまう現象です。二重に、あるいはそれ以上に血栓が重なるために、時として完全に動脈を塞いでしまうこともあります。
アテローム血栓性脳梗塞は、コレステロールや中性脂肪の高い人がなりやすいと言えます。