
くも膜下出血は、働き盛りの中高年に多い病気です。突発的に起こり症状も激烈なので、亡くなる人も少なくありません。
脳はとても重要な臓器なので、身体のどの臓器より大切に守られる構造になっています。一番外側で脳の入れ物であるも頭蓋骨だけでなく、その下に硬膜、くも膜、軟膜という3層の膜構造があります。3つの膜の下は脳脊髄液で満たされていて、脳はその脳脊髄液に浮かんでいます。ちょっとやそっとの衝撃ではダメージを受けないように、何重にも守られているのです。
くも膜下出血とは、くも膜の下にある動脈瘤が破裂して、くも膜と軟膜の間に出血した血液があふれ、脳全体が圧迫されて激しい症状を呈します。後頭部をハンマーで殴られたような感じと表現されますが、突然、衝撃的な痛みが襲いかかってきて、それに続いてめまい、嘔吐、けいれんなどが起きます。
くも膜下出血はある日突然発症するように見えますが、実際は発症以前に「動脈瘤」があります。動脈瘤とは、血管の一部が血圧で膨らんだ瘤のことで、血管の分かれ目に多くできます。若い人には少なく、中高年の数パーセントはすでに動脈瘤を持っていると言われています。
ただし動脈瘤の全てが破れてくも膜下出血になるわけではなく、脳動脈瘤を持つ人が100人いたら、発症するのはそのうち2人と言われています。残りの98%は動脈瘤があっても無症状です。