ワキ製薬と長岡高等専門学校の赤澤真一先生らは、今までのミミズ原料の製造方法を根本から一新させる、画期的なミミズの育成方法とミミズ粉末原料の製造方法を開発しました。
繁殖用と育成用とを分けて養殖
今までは、ミミズを繁殖用と育成用とを分けることなく一緒にして養殖していました。しかし、効率良く産卵させてミミズを繁殖させる養殖環境と、医薬品や食品原料となる育成ミミズの養殖環境は異なることが分かって来ました。
ミミズが産卵するには多くの栄養素が必要で、そのため養殖床には豊富な養分が必要です。ミミズの養殖で効率よく産卵させるためには、牛糞、食品廃棄物、腐葉土などの餌を与えなければなりません。しかし、餌には少なからず砒素や重金属等の有害物質が含まれ、ミミズ体内に蓄積されてしまいます。
栄養豊富な餌では菌も繁殖
これら栄養豊富な餌を与えることによって、養殖床で菌の繁殖が促進されることにもなります。
しかし、育成用ミミズはそれほど多くの栄養は必要としないのです。飼育方法を研究していくうちに、ミミズの繁殖と、ミミズ食品用原料となるミミズに育成するのに適した環境は、それぞれ異なることが分かってきました。
産卵させる繁殖ミミズと、ミミズ食品原料用育成ミミズをそれぞれ分別し、土と、牛糞、食品廃棄物などの入った繁殖専用床と、砒素や重金属等の有害物質を含まず、食物繊維で育てる育成専用床で、それぞれのミミズを養殖することで、有害物質の含まない食品原料用ミミズを安全に効率よく育てることができることが分かりました。
そして、このように菌や有害物質が含まれない餌で育ったミミズであれば、体内へ蓄積される菌や有害物質の量が非常に少ないミミズであれば、糞土、体腔液のミミズ体内からの除去によって、ミミズに蓄積された菌や有害物質を十分に除去することが容易となます。